2030年インフラ向け画像処理・カメラ機器/システム市場は419億円

富士経済は,老朽化や人員・技術者不足など様々な課題を抱えているインフラ維持管理業務の効率化のために注目されているIoT技術を活用した次世代の技術・システム関連(サービス含む)の市場を調査し,その結果を「2018年版 次世代インフラ維持管理技術・システム関連市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,老朽化の加速や維持管理のための人材不足など様々な課題を抱えているインフラ管理業務において,内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)などの支援に基づいて,マンパワーによる従来型の点検手法からIoTやロボット技術,画像解析を活用した技術開発などが進められている。

特に点検方法の中で最も基本的な目視点検に代わるものとして,カメラやレーダーなど画像処理技術を活用した点検サービスの需要が増加している。今後はAIの活用や画像処理技術の高度化により,橋梁・トンネルなど近接目視が義務付けられているインフラに対しても画像処理技術が現在の補助的な技術から代替技術となる可能性が高まっているという。

インフラ分野別でみると,道路関連の市場規模が最も大きく,2017年度は全体の40.1%を占める85億円となった。次いで生活インフラ関連,鉄道関連と続く。2030年度は全体で2017年度比7.5倍の1,595億円を予測する。特に道路関連が大幅に伸長するとみており,全体の60.1%を占めるとみる。治水関連は,全体からみれば市場規模は小さいものの,最も伸長率が高く,2030年度は96億円,2017年度比19.2倍を予測する。

道路関連では,舗装で既に路面性状調査が活用されており,橋梁やトンネルではセンサーによるモニタリングが利用されている。今後は加速度センサーによる路面性状調査や,橋梁やトンネルで劣化が懸念される部位でのセンサーモニタリングを中心に伸長するとみる。鉄道関連では,画像処理技術を活用した軌道やトンネル覆工の計測車両によるひび割れなどの検出とセンシング技術を活用した橋梁,トンネルでのセンサーモニタリングが主体となっている。2020年度頃から導入が検討されるドローン技術への注目度も高いという。

治水関連は体系的な点検が行なわれていないことから,災害対策も含めて点検ニーズが高まっている。劣化が見えない水中では水中ロボットが,広範囲の点検の効率化を目的としてドローンの活用が期待されるという。市場は2018年度頃から本格的に立ち上がるとみる。

技術領域別でみると,センシング機器/システムの市場規模が最も大きく,2017年度は全体の39.6%を占める84億円となった。次いで画像処理・カメラ機器/システムが大きく,市場をけん引しているという。これらの技術は市場規模が大きい道路関連および鉄道関連における需要が影響しているといい,今後はドローン技術/システムなどその他の領域も堅調に拡大するとみる。

センシング機器/システムは最も有望視されている市場であり,様々なインフラ構造物の老朽化対策で活用が期待され,特に老朽化が加速する橋梁の歪みや傾きのモニタリング需要が増加するとみる。画像処理・カメラ機器/システムは道路の舗装面,橋梁,トンネルといった構造物の劣化状況を把握する需要の増加により2020年度には110億円となり,2030年には2017年度比6.2倍の419億円を予測する。

ドローン技術/システムは目視点検が厳しい橋梁の点検,河川や海岸,太陽光発電用パネルなどの広範囲におよぶ点検での利用が期待されるという。市場は2025年度以降に急成長するとみており,2030年度には2017年度比144.0倍の72億円と予測した。

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