京都大学,東京大学,東京工業大学らの研究グループは,蜂の巣状の平面構造をもつ磁性絶縁体の塩化ルテニウム(α-RuCl3)において熱ホール効果が量子力学で規定される普遍的な値をとることを発見し,「マヨラナ粒子」を実証することに成功した(ニュースリリース)。
マヨラナ粒子は自分自身がその反粒子と同一という不思議な性質を持ちm理論的予言から80年以上もその存在の確証が得られていなかった「幻の粒子」。素粒子物理学を中心に探索が続けられてきたが,近年,ある種の超伝導体や磁性体でマヨラナ粒子が出現する可能性が指摘され,大きな注目を集めてきた。
この研究により,マヨラナ粒子が存在する決定的な証拠が得られただけでなく,マヨラナ粒子による量子化現象が高い温度で実現することが明らかになった。マヨラナ粒子の制御法の開発を行なうことで,高温でも動作可能なトポロジカル量子コンピューターへの応用が期待できるという。