大阪大学の研究グループは,これまでに開発に成功した新規超波長分解能法を用いて,IoTで注目される光ファイバ温度センシングの課題を克服するデモンストレーション実験に成功した(ニュースリリース)。
IoTで注目される光ファイバセンシング(温度センシング)用のインテロゲーター装置では,分光器は信号分析のコアエンジンとして使われている。しかし,これまでは,イメージセンサーのセンサーサイズ限界の制限により,サブナノメーター以下の高い波長分解能を持つ高価な分光器を搭載した装置でしか,光ファイバセンシング(温度センシング)は実現できていなかった。
今後,安価に高速かつ高い波長分解能でのリアルタイム計測が求められるライフサイエンス分野をはじめとする広い分野では,分光器の高波長分解能化を進めることにより,安価なマルチチャンネル分光器における新規超波長分解能法の導入が期待されている。
今回,研究グループは,従来の光ファイバセンシング(温度センシング)用のインテロゲーター装置に,マルチチャンネル分光器における新規超波長分解能法の導入を試みた。これにより,安価な分光器のままサブナノメーター以下の光ファイバセンシング(温度センシング)のデモンストレーションに成功した。
この成果によって,非常に安価なマルチチャンネル分光器を用いても,光ファイバセンシング(温度センシング)が可能となることから,今後,この手法の普及が期待され,分散処理が求められるIoTにおける普及が期待されるという。
この技術を用いることにより,ユーザは非常に安価に(市販の分光器の現在の価格とほとんど変わらない価格),高速なリアルタイム光ファイバセンシング(温度センシング)が可能になる。また,一般に10倍の波長分解能を有する高性能分光器は10倍程度の価格で販売されているため,この技術により低価格で従来機と同等の性能を有するインテロゲーター装置を提供することも可能となるとしている。