理研,膜タンパク質の構造変化を解明

理化学研究所(理研)は,クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法と放射光を用いたX線結晶構造解析を組み合わせ,細胞内に流れ込む水素イオンをエネルギーとしてさまざまな生命活動に利用する膜タンパク質の3次元構造の決定に成功した(ニュースリリース)。

これにより,膜タンパク質がダイナミックに構造を変化させることで活性化する新しい作動機構を発見した。このダイナミックな構造変化は,他の膜タンパク質でも機能の制御などに利用されている可能性が考えられる。同様の手法を用いて,さまざまなタンパク質などの生体分子の機能発現に伴う構造変化を解析することで,より詳細な作動機構の解明につながると期待できる。

今回,研究グループは,クライオ電子顕微鏡と放射光の両者を組み合わせ,膜タンパク質ExbB/ExbD複合体の構造解明に取り組んだ。その結果,イオンの通り道が塞がった状態の5量体のリング状の構造が,6量体のリングに変化することで水素イオンの通り道が開き,イオンの流れを駆動力に利用できる状態へと変わることが分かった。これまで,膜タンパク質のこのような大きな形態の変化は知られていない。

また,ExbB/ExbD複合体の中央にあるサブユニットが回転することにより化学物質や栄養素の輸送に必要な力学的エネルギーが発生する可能性が示された。ExbB/ExbDが関わる輸送系は抗生物質の輸送やウイルスの菌内への侵入にも利用されるため,細菌特異的に作用する薬の開発も期待できるとしている。

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