関大,従来の100倍以上発電する摩擦発電機を開発

関西大学の研究グループは,従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機の開発に成功した(ニュースリリース)。

研究グループは,ゴム,帯電フィルム,電極からできた柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取り組んでいる。今回,ゴム表面の粗さを工夫することで発電量を従来品より100倍以上向上させることに成功した。

人の歩行や車,機械の振動などで発電する環境発電は,IoT社会におけるセンサー用電源として注目されている。研究グループは,摩擦で発生する静電気から発電する摩擦発電機の開発に数年前から取り組んできた。

開発当初,靴のインソールに組み込んだ発電量の評価では,歩行時の発電量は0.003mW/ステップと微弱だったが,帯電フィルムを保持するゴムの表面粗さを工夫したところ,発電量は0.6mW/ステップ(瞬間的には10mW)へ飛躍的に向上することを確認した。この発電量で,10個以上のLEDの点灯やワイヤレス回路の駆動が可能であり,環境発電デバイスとしてさまざまな所への応用が期待できるという。

この摩擦発電機は構造がシンプルでゴムがベースであるため,柔軟かつ低コストであり,さまざまな応用が考えられる。例えば,靴に組み込めば歩くたびに発電しワイヤレス回路によってビーコン信号を発信し位置を知らせることや,さらに発電量を上げることで蓄電回路と組み合わせてスマートフォンなどのバッテリー充電も可能となる。

今後は,更なる構造の改良によって 0.1W/ステップの発電を目指すとしている。

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