NTTは開発を進める人工光合成技術をNTT R&D 2018にて展示した(技術概要)。
現在NTTは日本の総発電量の1%を消費しており,今後,モバイルの通信帯域がさらに増えれば,それをまかなう通信網の消費電力も爆発的に増大することが予想されている。そこでNTTでは通信の低消費電力化技術と共に,二酸化炭素を固定化またはエネルギー化する人工光合成技術の研究を行なっている。
人工光合成にはいくつかのアプローチがあるが,NTTが開発するのは半導体を触媒を用い,水を電気分解して水素と酸素を得るというもの。二酸化炭素を供給することでメタンやメタノールも得ることができるため,将来的には蓄電が難しい太陽電池に代わる家庭用エネルギー源として活用したいとしている。
半導体にGaNを用い,触媒にニッケル系の材料を用いる。GaNは吸収波長帯が紫外光に限られるため光の利用効率が悪く,変換効率は1%以下にとどまるという。NTTではより長波長を使える材料を探る一方,紫外光だけでみれば変換効率は50%程度あり,透明なサファイヤ基板を用いているので,あえて可視光や赤外光は透過する,室内が明るく暖かくなる窓のようなデバイスができないか探っている。
今後はより効率の高い材料を研究すると共に,水分解といいつつも現在は電解液が必要なため,この点についても家庭で気軽に利用できるようなものにしていきたいとしている。