三菱電機は,業界最高性能となる車両後測方の物体を100m程度の遠方から早期にカメラで認識する「電子ミラー向け物体認識技術」を開発した(ニュースリリース)。接近する物体を早期に検出すると同時に種類を識別し,ドライバーに注意を促すことで車線変更時などの事故防止に貢献する。
今回,視野内の目立つ領域に優先的に注目する人間の視覚的注意を模倣した独自のアルゴリズムによる「視覚認知モデル」を開発し,遠方の物体でも早期に検出。従来の物体認識技術では30m程度あった最大検出距離を業界最高性能となる100m程度にまで拡大し,検出精度を14%から81%に向上した。
さらに,「視覚認知モデル」を同社AI技術「Maisart」に取り入れることにより,検知した物体の種類(人,乗用車,トラックなど)を識別することで,検出から識別までを低演算量で実現。低演算量の「視覚認知モデル」とコンパクトなAIの組み合わせにより,車載向け組み込みシステム上でリアルタイムに動作する。
同社は夜間や悪天候,連続するカーブなど多様な走行環境に対応するアルゴリズムへ改良を加えるとともに時系列情報を活用したさらなる精度向上など,システムとして安全性を確保するための取り組みを実施していくとしている。