名大,液体内にナノサイズの空間形成に成功

著者: sugi

名古屋大学の研究グループは,世界で最も大きいサイズの孔を持つ液晶性環状分子の開発に成功し,液体の中にナノサイズの空間を形成することに成功した(ニュースリリース)。

活性炭やゼオライト等で知られる多孔性固体は,細孔の中に取り込んだ分子のみを反応する反応場として注目されている。しかし,分子サイズの空間を液体の中に作り出す方法論はほとんどなかった。

研究グループは,コインを重ねるように円盤状の形を持つ分子が集まってできる液晶(カラムナー液晶)に着目。円盤状分子の代わりに,内側に分子を取り込むサイズの「孔」をもつ環状分子を重ねることで,筒状構造の内側にナノサイズの空間を持つ液体ができると着想した。

液体に分子を溶かすことと異なり,分子を液体状の箱に入れることができ,未踏の反応を行う特殊な空間などへの展開が期待できる。これまで1nm程度のサイズの孔を持つ環状分子の液晶化に成功していたが,研究では従来までのサイズを大きく上回る2.5nmの直径サイズをもつ巨大環状分子を合成し,その液晶化に成功した。

このサイズはタンパク質を取り込めるほどの大きさ。タンパク質などの生理活性物質や,機能性炭素材料であるC60(フラーレン)などの大きな分子を取り込むことにより,触媒材料,有機薄膜太陽電池,導電性インク材料などへの応用が期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 阪大ら,光に応答した分子を細胞内で可視化

    大阪大学と東京大学は,光照射によりアルキンへと変換される新しい化学構造を開発し,この構造を観察対象となる分子に修飾することで,光に応答した分子を細胞内で可視化することに成功した(ニュースリリース)。 これまで,生体内分子…

    2025.10.24
  • 九大,液晶と高分子の複合材料で生じる特性を解析

    九州大学の研究グループは,高分子ネットワーク液晶に電圧を加えて流れを起こす実験を行ない,液晶が高分子の細かい網目構造に閉じ込められると,電圧をかけたときに現れる流れの模様がゆがみ,動きが遅くなる,さらに電流が流れにくくな…

    2025.10.10
  • 科学大,高熱伝導率を有する液晶性ポリイミドを合成

    東京科学大学の研究グループは,機械学習を活用した分子設計手法により,高熱伝導性を有する液晶性ポリイミドの開発に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。 近年,チップから発生する熱を効率よく放出することの重要性が高まって…

    2025.07.28
  • 東京科学大,有機π電子系分子の室温ネマチック液晶作製

    東京科学大学の研究グループは,高融点の棒状有機π電子系分子に柔軟な炭化水素鎖による環状構造を導入することで,室温付近で流動性と外部刺激応答性に優れたネマチック液晶(NLC)を実現し,大面積で分子を一方向に配向させることに…

    2025.02.21
  • 京大ら,レーザーで新しいリン同素体の開発に成功

    京都大学とリガクは,リンイオンから成る原料分子の固体にレーザー光を照射することにより特殊な化学反応を引き起こす新しい製造技術を開発,このレーザー合成技術を用いて従来困難であった極性構造を持つ新しいリン同素体の開発に成功し…

    2025.01.15
  • 九大ら,液晶の複雑な秩序構造の形成メカニズム解明

    九州大学と産業技術総合研究所は,連続体シミュレーションと機械学習を組み合わせることで,液晶の3次元秩序構造が変化してゆく過程,特に金属のマルテンサイト変態に似た双晶構造の形成メカニズムを解明することに成功した(ニュースリ…

    2024.12.03
  • 名大ら,ナノ多孔体に貴金属原子を均一に孤立分散

    名大ら,ナノ多孔体に貴金属原子を均一に孤立分散

    名古屋大学,早稲田大学,豪クイーンズランド大学は,アモルファス(非晶質)の金属骨格からなるナノ多孔体を支持体として用いて,貴金属原子を均一に孤立分散させる方法を提案した(ニュースリリース)。 原子レベルで分散された金属は…

    2024.06.25
  • 東大ら,金属3Dプリント中の画像で多孔質構造を予測

    東京大学とSOLIZEは,金属積層造形プロセスを高速で最適化するためのその場観察の手法を開発した(ニュースリリース)。 金属3Dプリンティングは,切削加工や型成形加工ではできない複雑な構造を造形できる方法として期待されて…

    2024.06.03

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア