NTTドコモとシャープは,第5世代移動通信方式(5G)を介した8K映像の12チャンネルMMT(MPEG Media Transport)伝送の共同実験に成功した(ニュースリリース)。
次世代の超高精細映像である8K映像の伝送には,最適な圧縮技術を用いたとしても,1チャンネル当たり平均80Mb/sのデータレートが必要となるため,LTEによる伝送では,伝送速度の観点から安定して複数チャンネルの8K映像伝送を実現することは困難だった。
実験では,5Gの特長の1つである高速・大容量の通信を活用することで,合計約1Gb/sを必要とする12チャンネルの8K映像伝送を安定して行なうことに成功した。
また,無線通信を行なうための電波は,建物や樹木,地形の起伏など障害物や反射物の影響を絶えず受けて伝搬している。そのため,無線区間の伝送誤りによる受信データの抜けやエラーの発生を完全に避けることはできない。
これらデータの抜けやエラーによる映像伝送品質の低下を防ぐためには,送信側において映像信号に対応するデータに追加データを付与して伝送し,受信側において受信したデータの抜けやエラーを検知・訂正する誤り訂正制御が必要となる。
実験では,5G無線装置における無線レイヤの誤り訂正制御に加え,誤り訂正制御を実装した8K映像受信装置を用いて受信データのエラーを検知・訂正することで,無線区間の伝送誤りの影響を大幅に低減した乱れの少ない映像を再現し,8Kディスプレーに表示することができた。
同社では今回の実験は将来的に,高精細スポーツ観戦映像や,高精細監視カメラ映像などへの応用が期待できるとしている。