慶應義塾大学の研究グループは,安価で豊富に存在する鉄を原料にした錯体触媒を使い,様々な芳香族化合物の炭素-水素結合を利用した直截的高選択的官能基導入法の開発に成功した(ニュースリリース)。
炭素-水素結合を利用した触媒的官能基化反応の開発は,持続可能な社会を目指した有機合成手法として注目されており,現在世界的に最も研究が行なわれている分野。
これら反応には,高価な貴金属元素やレアメタルを触媒に用いる場合がほとんどであり,より有用性が高い触媒反応として利用するためには,安価で豊富に存在する鉄を触媒として利用した合成手法の開発が急務となっている。
研究では,鉄ホスフィン錯体を触媒に用いると,既知の反応系では達成できなかったビニルエーテルを直鎖状に芳香環へ導入することが可能になった。高価な金属を触媒として用いた炭素-水素結の低コスト化が期待される。