豊橋技術科学大学,名古屋工業大学,富山大,NTTエレクトロニクス,三井金属計測機工の研究グループは,テラヘルツ波による食品製造工程用の異物検査装置を開発した(ニュースリリース)。
愛知県は,科学技術交流財団に委託して,大学などの研究シーズを企業の実用化・製品化につなげる産学行政連携の共同研究開発プロジェクト『「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト』を実施している。今回の開発は,その中の「食の安心・安全技術開発プロジェクト」におけるもの。
テラヘルツ波は光と電波の間の周波数を持ち,光と電波の両方の性質を兼ね備えている電磁波。この検査装置では,テラヘルツ波の持つ,光と電波の2つの性質を用いた装置設計を行なっている。
新規開発した広帯域光源(0.285THz~0.315THz)を用いた0.3THz帯のテラヘルツ波発生器,及び,テラヘルツ波検出素子を最適に配置した新規開発の検出器により,ノイズが少なくクリアな透過画像(最高画像分解能1mm)を取得できる。また,高速(生産速度30m/分)で移動する食品等の製品に対して検査ができる。
一般的に,可視光は食品内部を殆ど透過しないが,テラヘルツ波は可視光と比べて食品をよく透過する。透過したテラヘルツ波をセンサーで受信することにより,食品内部が透けて見える透過画像が得られる。虫等の異物が食品中に含まれている場合,テラヘルツ波の透過率が異なるため,異物の混入がわかる。
また,テラヘルツ波は,紙,布,樹脂を透過するため,可視光では見えない包装された食品の透過画像も得ることができる。
研究グループは,今後,粉末食品,ドライフーズ等の乾燥食品を主な対象として,平成28年度から実証試験を開始し,平成32年度以降に製品化を目指すとしている。