フィリップス・ジャパンは,新型PET/CT装置(核医学診断用ポジトロンCT装置)「Vereos PET/CT」の販売を開始した(ニュースリリース)。
この製品は,同社が開発したデジタルフォトンカウンティング技術によるデジタル半導体(D-SiPM: Digital-Silicon Photomultiplier,デジタルSi-PM)検出器を搭載したフルデジタルPET/CT装置。
従来のPET装置の検出器には,アナログ素材で真空管の一種である光電子増倍管(PMT: Photo-multiplier Tube)が長らく用いられてきた。Vereos PET/CTでは,検出器にデジタル半導体を採用することで光電子増倍管を用いたPET装置に比べ検出精度を大幅に向上させ,アナログ由来のノイズ混入を排除することで,画像の分解能,システム感度と高い定量性を獲得したとする。
さらに検出器内部のブレイクスルーとして,クリスタルと半導体の受光面(素子)を完全に1:1で対応させる1to1カップリング方式を採用することで,従来方式では得られなかったより多くの信号成分を効率よく収集・活用することにも成功した。
PET/CT装置のCT部分には,逐次近似応用画像再構成と金属アーチファクト低減再構成を実装した診断用64/128スライスCT装置を採用し,高速画像再構成が可能な精度の高いリコンストラクションユニットとPET/CTスキャナーを新開発のユーザインターフェースで統合することで,ワークフローの改善と検査効率を追求した。
現在PET/CT装置に求められる3要素である分解能(空間的/時間的),感度,定量性について全て2倍超(従来比)にスペックを改善した。近い将来の応用が待たれる新規PET製剤の基礎・臨床研究においてもインパクトのある貢献が期待されるとしている。