阪大,金属フリーの可視・近赤応答光触媒を開発

大阪大学の研究グループは,黒リンとグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)の二成分からなる複合体を用いた光触媒を開発し,この光触媒を使用すると可視光・近赤外光の照射によっても,水から水素生成が効率よく起こることを世界で初めて見出した(ニュースリリース)。この触媒は金属を全く使用しない,完全金属フリーの触媒。

従来の光触媒では,太陽光に4%程度しか含まれていない紫外光を利用するため,水から水素への太陽光エネルギー変換効率は低く,実用からは遠いという問題があった。

今回,研究グループは,紫外・可視光のみならず近赤外光にも強い吸収をもつ層状の黒リンと,数層からなるg-C3N4との二成分からなる複合体を合成した。この複合体に可視光・近赤外光を照射すると,複合体の光触媒作用によって,水から水素が効率的に生成する。

この複合体において,黒リンが可視光・近赤外光に応答する光増感剤として働き,また,g-C3N4が可視光に応答する光増感剤として働く。黒リンとg-C3N4はともに層状構造のためその界面を形成しやすく界面間での電荷移動が容易になり,その結果電荷分離が効率的に進行する。

特に,黒リンとg-C3N4との界面にP-N結合が生成して電子捕捉部位となり,水から水素が生成することは,この研究成果により世界で初めて明らかになった。

この可視光・近赤外光駆動型で水から水素を生成する光触媒は,金属を全く使用しない完全金属フリー光触媒としては世界初めての例となる。新しく開発した黒リンとg-C3N4の複合体を光触媒として使用することによって,太陽光からの広帯域波長光を利用して水からの水素製造が可能になったとしている。

キーワード:

関連記事

  • 千葉大など、CO₂光燃料化活性の作用機構を解明

    千葉大学と中国成都バイオガス科学研究所の研究グループは、二酸化炭素をメタンなどの燃料に変換する光触媒反応において、「光で生じた電子による反応」と「ホットスポットにおける反応」の役割を明確に識別・特定することに成功した。さ…

    2026.04.14
  • 九州大、CO2とプラスチックを太陽光で同時に有用化学品に変換する単一触媒を開発

    九州大学の研究グループは、CO2排出とプラスチック廃棄物という二つの深刻な環境問題に、単一のプロセスで同時に対処する画期的な光触媒システムを開発した(ニュースリリース)。 地球規模のCO2排出とプラスチック汚染は、最も差…

    2026.02.24
  • 阪大、多孔質な窒化炭素光触媒を合成する方法を開発

    大阪大学の研究グループは、水酸化メラミン誘導体を加熱焼成する簡単な操作により多孔質窒化炭素(CN)光触媒を合成する方法を開発した(ニュースリリース)。 CN光触媒は、メラミンなどの安価な原料を加熱焼成して簡単に合成できる…

    2026.01.27
  • 名大、鉄×光で高価な光学活性物質を1/3に抑える新触媒を開発

    名古屋大学の研究グループは、高価なキラル配位子X*の使用量を最小限に抑えることができる理想的なデザインの鉄(III)光触媒の開発に成功した(ニュースリリース)。 金属光触媒は、非金属光触媒に比べて耐久性に優れている点や、…

    2026.01.26
  • 東京科学大、太陽光を有効利用できる色素増感型光触媒を開発

    東京科学大学の研究グループは、従来利用できなかった波長の可視光も利用できる新しい色素増感型光触媒を開発した(ニュースリリース)。 クリーンなエネルギー源として注目されている水素を生成する手法の一つとして、光触媒の研究が盛…

    2025.12.26

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア