日東電工は,次世代の高速大容量通信の実現に向け,プラスチック光ケーブル(POF)事業へ参入すると発表した(ニュースリリース)。
現在は無線伝送,電気伝送,光伝送が主な情報伝送手法として用いられているが,2020年頃には高速大容量通信時代の到来とともに,より多くの情報に対応できる光伝送のニーズが拡大すると予測されている。同社は,これまで蓄積してきた光学フィルムに関する押し出し技術等を活用しながら,新材料を用いたPOFの2019年度の量産開始を目指す。
開発を進める新規POFは,100Gb/s以上の高速データ伝送に加え,ファイバー素材自体が屈曲性に優れ,ガラス光ケーブルでは困難とされていた狭い機器内での光伝送も容易に行なえる。独自の製法により高い耐熱性能を実現できるので,高精細ディスプレーにとどまらず,航空機や自動車など輸送機器への搭載も見込む。
また,新規POFのフレキシビリティや有線ならではの高いセキュリティ性を活かすことで,住宅やオフィス,病院などの住空間,航空機や自動車などの輸送機器内,ロボット,さらには宇宙空間などあらゆる場において大容量高速通信が可能となるとしている。
さらに同社は,新規POF事業への参入にあたり慶應義塾大学と共同で新材料を用いたPOFの共同研究を行なう旨に合意し,慶應義塾大学理工学部・理工学研究科附属フォトニクス・リサーチ・インスティテュート内に,「Nitto・慶應義塾大学 光ケーブル共同研究センター」を開設する。共同研究場所としては新川崎タウンキャンパスを活用する。