九州大学の研究グループは,九州先端科学技術研究所(ISIT)との共同研究により,光学活性化合物の右手・左手(キラリティー)を簡便に識別し定量化できる蛍光センシング技術を開発した(ニュースリリース)。
アミノ酸や糖などの光学活性化合物には,右手と左手のような鏡像の関係にある分子が存在する。右手型か左手型かの違いで生体中では薬にも毒にもなることが知られているため,右手型・左手型を識別し定量化できる分析技術は創薬研究等において不可欠なものとなる。
研究グループは,代表的な光学活性化合物の識別に取り組み,右手型・左手型という僅かな立体の差が自己組織化過程で増幅されることで,結果的に大きな蛍光強度の差として識別できることを見出した。
この仕組みにより右手型と左手型の存在比(光学純度)を蛍光分光法で簡便・高感度に決定できるようになった。これは,光学活性化合物の識別の歴史では画期的なことだとしている。