静岡大学は,スロベニアおよびスイスの研究グループと共同で,鉄酸ビスマスという強誘電体材料内部の特殊なイオンの状態を初めて原子スケールで解明した(ニュースリリース)。
強誘電体材料はメモリ素子や加速度センサー,圧電素子などに利用されている材料で,その機能の発現には,厚さ数ナノメートル程度のドメイン壁(分域壁)と呼ばれる微細な構造が関与していると言われていたが,原子スケールの詳細な構造はこれまで明らかにされておらず,長年未解明のままとなっていた。
今回の研究成果では,最先端の顕微鏡技術を用いて鉄酸ビスマスのドメイン壁における原子スケールでの構造解析を行ない,鉄及びビスマスが通常と異なる特殊なイオンの状態で存在していることを明らかにした。
この研究成果は,強誘電体の構造と物性の理解を深めるものであり,今後メモリ容量の大幅なスケールアップなどにつながることが期待されるとしている。