富士ゼロックス,表面パターンの一意識別技術を開発

富士ゼロックスは,工業製品など物体表面に偶然生成された固有のランダムパターンを識別する一意識別技術「Yoctrace(ヨクトレース)」を開発,印刷業などを対象としたライセンス提供を開始した(ニュースリリース)。

経済協力開発機構によると,模倣品や海賊版などによる被害が,世界総貿易額の約2.5%に相当する5,000億ドルに迫るとしており,その対象も高級ブランド品から医薬品,電子部品,航空機・自動車部品,農薬,食品にまで及び,偽造品製作技術の発達に伴い,一層巧妙化・悪質化していることが大きな問題となっている。

開発品は,同社の画像処理技術を生かし,2002年に世界で初めて開発した汎用スキャナーによリ紙を一枚一枚識別する技術を,紙以外の工業用素材に対象を広げ,独自のアルゴリズムにより真贋判定や一意識別を可能にしたもの。偽造防止だけでなく,例えば,ブロックチェーン技術と組み合わせ,仮想通貨を紙で保管する際の紙媒体への印刷に適用することで,高度なセキュリティーを実現する。

具体的には,対象となる工業製品の物体表面をスマートフォン,デジタルカメラで撮影したり,スキャナーで読み取り,その画像情報をサーバーに事前に登録する。そして,照合したい物体の同じ箇所を撮影し,あらかじめ登録した画像と照合させ,同じ物体か否かを識別する。

この技術は,指紋認証のように指紋の特徴点を抽出して照合するのではなく,ランダムパターンをもった画像全体を照合するため,きわめて精度が高い照合が行なえる。そのため,高いセキュリティーが要求される商品券やIDカードの偽造防止への利用が可能。

また,物体の画像そのものを識別し,個別のシリアル番号やバーコードなどのタグを付与する必要がないため,タグ付けが難しい錠剤のような小さい物体の識別も行なえる。さらに同社は,物体表面を撮影する際に,濃淡や凹凸などの陰影に依存しないよう,光学系のノウハウも備えている。

同社は今後,この技術の一意識別可能な技術の特性を生かし,偽造防止だけでなく,製造工程の品質管理や物流の効率化のためのさまざまな物体の個体履歴と製造履歴を紐付けるIoT技術としての利用検討をさらに進めていくとしている。

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