東大ら,炭素骨格の組み換えを高効率で行なう手法を確立

東京大学,京都大学,愛媛大学からなる共同研究グループは,“ばね”型有機分子を金属表面で歪ませることにより,“高エネルギー充電状態”を作り出し,従来法では合成できなかった機能性材料を著しく低いエネルギーで合成する新しい炭素骨格組み換え反応の開発に成功した(ニュースリリース)。

有機材料を利用する有機ELディスプレーや太陽電池は,“曲がる・薄いデバイス”を実現できるため,大きな注目を集めている。これらのデバイスを構成する半導体材料である機能性有機分子は,従来,フラスコ中での有機合成反応を用いて作られてきた。

しかし,超伝導などの優れた特性を示すある種の機能性有機分子は,その合成に大きなエネルギーを必要とするため,数百度の高温でも合成が困難であり,新しい原理に基づく合成法が望まれていた。

今回開発した「金属表面で分子を曲げて骨格を変える新・有機合成法」では,ねじれた“ばね”型有機分子を設計し,金属表面上で分子を曲げることにより高いエネルギー状態を作り出すことで,従来困難であった機能性分子の合成に成功し,懸案の問題を解決した。

この方法のポイントは,原料分子を触媒の表面で歪ませることで力学的エネルギーを分子内に蓄えた状態,いうなれば,歪みエネルギーの“充電状態”を作り出したことにある。

穏やかな加熱条件でその歪みエネルギーを開放することにより,新しい形式の化学反応を起こし,超伝導等に用いられる機能性構造である「フルバレン骨格」の合成に成功した。

分子内部の局所的な構造変化を検出することは通常困難だが,極めて精密な原子間力顕微鏡を用いることで個々の有機分子を構成する炭素原子の骨組み(炭素骨格)を画像化することができる。この研究による原子間力顕微鏡測定によって,生成された分子が確かにフルバレン骨格を持つこと,そしてその反応効率が非常に高いことを明らかにした。

今回,歪みエネルギーをうまく産み出し,有機分子の炭素骨格の組み換えを高効率で行なう手法を確立したことによって,原子効率が非常に高い化学反応による有機エレクトロニクス材料の画期的合成法への利用が期待されるとしている。

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