北里大ら,ヒトの光感受性の指標に新たな知見


北里大学は,九州大学のとの共同研究により,ヒトの光感受性の指標であるメラトニン分泌抑制に見られる個人差に,時計遺伝子の1つであるPER2遺伝子のバリエーションが関与していることを示した(ニュースリリース)。

さらに,そのPER2遺伝子のバリエーションのうち,アフリカに多い祖先タイプは光感受性の低いタイプで,約7万年前のホモ・サピエンスの出アフリカ後,光感受性の高いタイプが頻度を増した可能性を示した。

これまで,メラトニン分泌抑制は体内時計とは関係なく光刺激によって起こることが常識であった。今回,これまでのこの知見と反して,体内時計に関与するPER2遺伝子の多型が,光刺激に対するメラトニン分泌抑制率の個人差と関係していることを示した。

これは,ホモ・サピエンスが世界中に拡散する際に様々な光環境に適応する必要があったためと想像される。今回の成果は,その光環境適応をPER2遺伝子多型は担った可能性を示唆するもの。今後は,様々な光環境のもとでどのような適応進化が進んだか,その詳細を明らかにしたいとしている。