オリンパス医療要素開発1部部長の後野和弘氏は,平成29年度春の褒章において,「狭帯域光観察内視鏡システムの開発」により紫綬褒章を受章することになった(ニュースリリース)。伝達式は5月16日(火)に行なわれる予定。
紫綬褒章は,科学技術分野における発明・発見や,学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた個人に授与される。同氏は,長年,医療用内視鏡製品の研究や開発に携わってきた。今回,がんなどの病変の早期発見をサポートする狭帯域光観察(NBI)内視鏡システムの開発が評価され,受章となった。
NBIとは,緑色光と青色光を利用し,粘膜表層部と深部の血管を鮮明に表示することで,がんなどの病変の早期発見をサポートする観察法。通常の内視鏡では,暗い体内の粘膜表面を白色光で照らして観察するが,NBI内視鏡システムでは,血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長(青色 光:390~445nm/緑色光:530~550nm)の光で照らして観察するため,粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様が強調して表示される。
がんは自らを大きくするため血管を増やして栄養分を取り込もうとする特性があり,がんが拡大すると毛細血管が増え粘膜表面が込み入った模様に変わるため,NBIでがんの早期発見をサポートする。この技術は,同社の内視鏡ビデオスコープシステムなどに搭載されている。