名大ら,鳥を参考に構造発色性顔料と光学デバイスを構築


名古屋大学と東京理科大学は共同で,角度依存性のない構造色を示す鳥の羽を参考にして,無機微粒子と高分子電解質を用いた退色性の少ない構造発色性顔料および色相が変化する光学デバイスを開発した(ニュースリリース)。

ステラ-カケスなどの鮮やかな構造色を示す羽には,サブミクロンサイズの特定の大きさの細孔が短距離秩序を持って等方的に分布(アモルファス状態)している。各細孔によって散乱した光は,秩序構造があることで干渉して強め合う結果,羽は構造色を示す可能性を持つ。

ただし,このような構造があるだけでは,羽からは鮮やかな構造色は観測されない。このような構造を有するものからは非干渉性の多重散乱が可視光の全域に生じうるため,その影響が強ければ,羽は白っぽく見えてしまう。

しかし,青いステラ-カケスの羽は,可視光の波長の長さで屈折率の変化に短距離秩序を有する微細構造とその背後に存在する黒色のメラニン顆粒の利用により,鮮やかな角度依存性のない構造色を示すことが知られている。同じようなメカニズムを利用した構造発色性の生物は他にも沢山いる。

研究では,上述した青い鳥の羽の構造を模倣することで,短距離秩序を有する微細構造から生じる角度依存性のない構造色に対する背景の黒色物質の影響について調べた。その青い鳥の羽を参考にした構造発色性材料は,黒色の石英基板上に粒径の揃ったサブミクロンサイズの球形シリカ粒子からなるコロイドアモルファス集合体を,高分子電解質とLayer-by-Layer法(LbL法)によって融合することで作製した。

黒色のガラス基板上に作製したコロイドアモルファス集合体は,膜厚の増大と共に角度依存性のない鮮やかな構造色を示すようになり,膜厚が約1〜2μmの場合にその構造色は最も鮮やかに見えるようになることが分かった。

また,この発色メカニズムを利用した顔料を作製するために,粒径が5μmの黒色微粒子を芯材として利用し,その周りにLbL法によって,同様のコロイドアモルファス集合体を形成した。その結果,用いたコロイド粒子の大きさに応じて異なる色合いを示す構造発色性顔料が得られることを明らかにした。

さらに,この発色メカニズムを利用して,構造色の発色性が切り替えられる光学デバイスの構築にも取り組んだ。コロイドアモルファス集合体の背景として,二枚の偏光板を利用した黒色の度合いを可変できるシステムを用いると,その黒色の度合いに応じた構造色の鮮やかさの制御ができることも明らかにした。

研究グループは,光の波長サイズの秩序構造の膜厚の制御とその背景に黒色物質を置くことの組み合わせにより,安全安価で非退色性の有機-無機融合顔料の調製や,色相の可逆な変化ができる光学デバイスの構築が可能になるとしている。

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