東北大学は,東芝,古河電気工業と共同で,高温超伝導材料を用いた無冷媒高温超伝導磁石の開発を行ない,直径52mmの室温実験空間に24.6テスラの強磁場を発生させ,無冷媒超伝導磁石の発生磁場世界記録を大きく更新した(ニュースリリース)。
無冷媒超伝導磁石は,他の強磁場磁石と比べて,コスト・安全性・利便性・柔軟性など多くのメリットを有する。この利点を生かせば,内部磁場の解析手法である固体NMRなどの物性研究や,強磁場中の材料プロセス研究に広く用いることが可能となる。
今回,強磁場中でも高い超伝導特性を有する高温超伝導材料の内,住友電工によって新たに開発された高強度ビスマス系超伝導線材と,古河電工と東北大で共同開発した高強度ニオブ 3 スズ・ラザフォード導体を採用することで,より高磁場の無冷媒超伝導磁石の開発に成功した。さらに今回,24.2テスラの長時間保持が実証され,超伝導磁石を用いた世界最高磁場におけるNMR測定にも成功した。
開発した無冷媒超伝導磁石は,世界最高の実用超伝導磁石として全国の研究者に公開され(全国共同利用),今後24テスラ級の強磁場応用が拓かれていくものだという。
また開発によって得られた超伝導磁石技術は,より強い磁石の開発や超伝導磁石を用いた機器(MRIや加速器,核融合など)への応用が期待できるとしている。