DNP,米企業と液晶調光フィルムを事業化

大日本印刷(DNP)は,ハイテクノロジー液晶アプリケーションの研究開発をおこなう米アルファマイクロン社(AMI)と,液晶を使って透過する光を制御する「液晶調光フィルム」事業で協業すると発表した(ニュースリリース)。

ブラインド,パーティションとしてさまざまな方式の調光が実用化されているが,現状はその方式により,色を切り替える応答速度が遅い,調光時の色合いがダークグレーや乳白色などに限られている,消費電力が大きいなどといった課題がある。

DNPとAMIによる液晶調光フィルムは,二色性色素と液晶を用い,電圧のオン/オフでフィルムの明暗を瞬時に切り替えて,透過する光をコントロールする製品。このような課題に以下の特長を備えることで対応していく。

・明暗の切り替えに必要な電圧は8~20Vと低電圧を実現。
・電圧を変えることで,色合いの明るさを調整することも可能。
・電圧をかけた際の調光速度は1秒以下と,瞬時に色の明暗などを切り替えられる。
・色素分子の種類によって,自由に色合いを設計できる。

液晶調光フィルム用材料でAMIオリジナルの二色性色素を用いたゲスト(二色性色素)・ホスト(液晶)材料と,DNPの精密コーティング技術と組み合わせ大面積での量産製造技術を確立し,グローバル市場に向けて今年度末より販売を開始する予定。

DNPはこの製品を車載用ミラーやサンバイザー,ヘルメット用バイザーのほか,広い面積が必要なサンルーフなどの自動車向けに加え,建物,住宅,オフィスなどさまざまな市場に向けて製造・販売し,2020年度に20億円の売上を目指す。

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