技科大,ガスセンサー向けマイクロホットプレート作製

豊橋技術科学大学は高分子材料であるSU-8を用いてマイクロホットプレート(MHP)を作製した(ニュースリリース)。このMHPを用いることでスマートガスセンサーのレイアウト設計やプロセス条件に対する技術要求を緩和することができる。

ガスセンサーをICチップ上に実現することで,スマートガスセンシングシステムの低コスト化や小型化が可能となる。現在最も普及している半導体ガスセンサーは,その材料を数100°Cに加熱する必要があるため,これを電子回路と集積化するには,回路との熱分離のため,MEMSを用いたマイクロホットプレート(MHP)が必要となる。

しかしながら,このMHPはその支持部が機械的に脆弱であり,強度を向上させると熱分離性能が低下してしまうというトレードオフが存在する。そこで研究グループは,機械的強度と熱分離性能の両立をめざし,SU-8をMHP支持部の補強材料として用いることを提案した。SU-8はMEMS構造体に広く用いられる高分子材料で,良好な機械的強度と低い熱伝導率を持つ。

研究グループは提案のMHPを作製しその加熱性能を評価した。作製されたMHPは約140μm四方の加熱領域を有し,支持部であるブリッジ上に膜厚 33μmのSU-8層が形成されている。シミュレーションにより,この構造は良好な熱分離性能を有することが確認され,駆動電圧5Vにおいて550°C まで加熱可能であることが実証されました。

また,消費電力は300°C加熱時に約13.9mWと,これまでに報告されているMHPと同程度の低消費電力を達成し,少なくとも100分間の安定動作も示した。このMHPは,厚いSU-8を形成しており,作製時に材料内部に発生する残留応力の精密な制御が不要となる。よって,スマートガスセンサーはより柔軟なレイアウト設計が可能となり,その小型化につながるという。

研究グループはこのようなスマートガスセンサー実現に向け,引き続き研究を進めていく。

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