島津製作所,X線TVの被曝量低減技術を開発

島津製作所は,同社のX線TVシステム「SONIALVISION G4」向けに,内視鏡による胆管および膵管の検査・治療を行うERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)時のX線照射量を大幅に低減する新しい画像処理技術「SUREengine FAST(シュアエンジン ファスト)」を開発した(ニュースリリース)。

膵臓がんなどの病変を精密に検査するための膵胆管生検や,胆石の除去などの治療では,ERCPと呼ばれる手法が用いられている。ERCPは,口から十二指腸まで内視鏡を挿入し,その先に付いた細いチューブ(カテーテル)から胆道系,膵管を直接造影する手法。

この手法では,カテーテルの位置や造影状態などを確認するため,X線TVシステムの透視機能が使用される。このような手技においては,被検者や医療従事者への被ばくを低減することが求められている。

今回同社は,高速な演算処理によって低線量でもノイズや残像を低減する新しいデジタルフィルタ処理技術を開発した。内視鏡検査に必要なX線画質とリアルタイム性を維持しながらX線量を大幅に低減できるという。

「SONIALVISION G4」で従来の内視鏡検査時に使用されていた透視X線の照射パルスレート(15fps)での比較では,この技術を導入することで,画質やリアルタイム性を維持したまま透視被ばく量を約60%低減できる。

さらに,この技術を導入した上でパルスレートを7.5fpsに落とした場合は,従来の15fps時と比較して透視被ばく量を約80%低減できる。同社は今後,販売する「SONIALVISION G4」にこの技術を標準搭載する。

その他関連ニュース

  • 弘前大ら,無色透明でX線を遮蔽できる複合材を開発 2024年12月10日
  • 名大,AIで究極のX線レンズを作製する方法を開発 2024年12月02日
  • 理研ら,自由に像を成形するX線プロジェクター実現 2024年11月21日
  • NTTら,APNでクラウド内視鏡システムの実現へ 2024年11月19日
  • 産総研,画像基盤モデルで膀胱内視鏡診断支援AI開発 2024年07月16日
  • FBRIら,X線照射を造血幹細胞の再生医療に応用 2024年06月11日
  • 富士フイルム,より高画質化した内視鏡システム発売 2024年05月28日
  • 東大ら,高精細・高感度なX線イメージセンサを作製 2024年05月13日