京大ら,酸化物絶縁体の界面で室温スピン輸送に成功

京都大学,東京工業大学,独ワルター・マイスナー研究所,大阪市立大学などは共同で,異なる酸化物絶縁体を貼り合わせた境目に現れ,電子が高速で運動できる特殊な「2次元電子系」と呼ばれる系において,室温でスピンを輸送できることを発見した(ニュースリリース)。

今回の研究では,ランタンアルミネート(LaAlO3(LAO))とストロンチウムタイタネート(SrTiO3(STO)) という2種の酸化物を貼り合わせた素材を用いた。

この2つの酸化物は共に電気を通さない絶縁体であるにも関わらず,貼り合わせるとその間にのみ電子が高速で運動できる2次元的な層(2次元電子ガス)が現れることが2004年に発見された。シリコンには無い特徴を持つ次世代エレクトロニクス材料として応用的にも大きく期待されており,強い関心が寄せられている。

基礎物理の面でも超伝導や強磁性など様々な興味深い物性が発現することが知られていたが,スピントロニクスの観点からの機能開拓は遅れており,研究の進展が待たれていた。

共同研究グループはこのLAO/STO界面に存在する2次元電子ガスに室温でスピンを注入し,スピンを輸送することに世界で初めて成功した。この魅力的な酸化物2次元系にスピントロニクス機能を搭載することを可能とした点で大きな意義をもつ研究であり,今後この材料を用いた研究の進展が期待されるとしている。

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