パナソニックは,店舗の窓ガラスなどをデジタルサイネージ(電子看板)としても活用できる高コントラストな画質を実現する透明スクリーンを,3月22日より発売する(ニュースリリース)。オープン価格。
この製品は2枚のガラスの間に高コントラスト調光フィルムを封入し,電圧をかけることで透明モード,電圧オフでスクリーンモードに変化する特殊なガラスと制御ボックスのセットとなっている。映像はプロジェクターによりスクリーンモード時に投影する(リア投射方式)。制御ボックスは映像コンテンツに合せてプロジェクターとスクリーンを同期させ,透明モードとスクリーンモードを切り替える。
透明モードでは,ショーウィンドーとして商品や展示物を見せることができ,スクリーンモードではガラス面に高画質な映像を表示することができる。新製品の情報を映像で表示したりバーゲン時にはセール情報を表示するなど,より魅力的な空間としての活用が可能となる。また,スクリーンは複数枚接合による大画面化が容易。
従来から白濁系調光ガラスに映像を投影することは行なわれていたが,画質劣化を引き起こす外光の影響により,コントラストの高い画像を得ることが難しかった。今回,特殊ポリマーとカプセルを入れた透明-白濁スイッチング層と,色調コントロール層から成る高コントラスト調光フィルムをガラスに内蔵した。
色調コントロール層はスクリーンモード時には外光を大きく吸収するため,画質劣化が非常に少なく,サイネージ並みの高コントラストな映像を明るい室内環境でも得られるようになった。また,色調コントロール層の透過率を設置環境下の照度に合わせて調整することで,さまざまな明るさの室内環境においても常に一定の高コントラスト映像表示が可能になった。明るい環境下でも黒の締まった映像が得られる一方,暗い環境下では小型のプロジェクターでもコントラストの高い映像を得ることができる。
透明モード時は,透明-白濁スイッチング層に電圧をかけることで内部の液晶分子の配列に規則性を持たせ,光を直進透過させる。さらに色調コントロール層にも最大電圧をかけることで,高コントラスト調光フィルムの透過率を向上させる。加えて,ガラス表面に反射低減処理(ARフィルム貼合:オプション)を行なうことで,不要な表面反射の抑制により,透過率約68%を実現した。これにより,ショーウィンドーとして,商品や展示物をクリアに見せることができる。
同社は,商業施設や小売店,ホテルや空港,博物館や美術館など,流通業界や公共機関,公共施設などを中心として,新たなビジュアルソリューションを提供していくとしている。なお,この技術に関しては,昨年2月の同社プライベートショーの記事内の写真で見ることができる。