加工用レーザー機器開発のスペクトロニクスは1月16日,5.2億円の第三者割当増資を実施したと発表した(ニュースリリース)。
割当先となったのは,新規株主のイノベーティブ・ベンチャー投資事業有限責任組合,KSP4号投資事業有限責任組合,京銀輝く未来応援ファンド投資事業有限責任組合と,既存株主である産業革新機構,大和企業投資,三菱UFJキャピタル。
近年,微細加工において短パルスレーザーの応用が注目を集めている。現在主流である欧米製短パルスレーザーは,高品質な加工を実現できるものの,生産ラインで使うには加工速度が遅く,また部品劣化に伴う交換が頻繁に発生するため,運用コストやメンテナンスコストで課題があった。
スペクトロニクスは2004年に設立された,微細加工用の短パルスレーザー発振器を開発するベンチャー企業。同社が開発したハイブリッド型ピコ秒パルスレーザーは,欧米製レーザーとほぼ同等の加工品質を維持しつつ,加工速度を材料によっては2~25倍高速化できることが最大の特長。
また,劣化の少ない汎用部品で製品を構成できるため,競争力の高い製品価格を実現できるとともに,消耗品も格段に減少するため大幅にランニングコストを低減することができる。さらに,オンサイトでのメンテナンスや現場での消耗品の交換ができることから,顧客の製造プロセスの稼働率を上げ,大幅に生産性を向上させることができる。
同社のハイブリット型ピコ秒パルスレーザーは,新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に採択され,さらなる研究開発を進めている。
同社は今回調達した成長資金により,生産体制の強化,及び研究開発の促進を実施する事で,「世界で最も頼りにされるレーザー技術のパートナー企業」となる事を目標に事業を推進する。また,国内外の微細加工ニーズに応えられる産業用レーザー発振器メーカーとして更なる飛躍を目指すとしている。