東北大学大は東京大学らと協力して3次元ナノ多孔質グラフェンを用いたグラフェントランジスタの3次元集積化に成功した(ニュースリリース)。
近年,携帯情報端末の普及や小型化・高性能化に伴い,省電力で軽量かつ高性能なデバイスの開発が求められている。炭素原子一層からなるグラフェンは2次元のシート材料であり,安価で軽量かつその優れた電気特性から,トランジスタなどの半導体集積回路に必要不可欠なシリコンの代替材料として有力視されている。
しかし,グラフェンが実用的な性能を得るには何千枚ものグラフェンを集積化し,実用レベルまで性能を向上させる必要がある。今回,開発した厚みがあり多孔質を持つ3次元グラフェンをトランジスタに用いることで,集積してない2次元グラフェントランジスタの最大1000倍の電気容量を達成した。
研究グループは,以前より研究を進めてきた3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて電気2重層トランジスタを作製。そしてこのトランジスタが従来の平面構造のグラフェントランジスタと比較して100倍高い伝導度の応答と1000倍高い電気容量を示すことが分かったという。
3次元ナノ多孔質グラフェンはシリコン基板に比べて表面積あたりの重さが1万倍程度軽く,高い易動度から消費電力の低減が見込まれており,省電力かつ軽量・高性能なデバイス開発に寄与することが期待されるとしている。
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