豊田合成は,光通信用LEDを試作し,9月14日~16日にパシフィコ横浜(横浜)にて開催した光技術展示会,InterOpto2016に出展した。
これはPOF(Plastic optical fiber)を用いた光通信に適した光源でGaNを材料として509nmの青緑色で発光する。従来POF通信には赤色LEDが用いられていたが,通信速度が150Mb/s程度と遅く,温度変化にも弱いため高温での使用にはペルチェ素子などで冷却する必要があった。
このLEDの波長はPOFの吸収が少なく,立ち上がり/立下り時間が1.2nsecと短いため高速通信に適しているという。同社では浜松ホトニクスにパッケージングの協力を得て試作品を作成し,通信速度を計測したところ1Gb/sで良好なアイパターンを確認することができた。また,温度依存性も比較的小さく,100℃でも良好な動作をした。
このLEDは主に自動車での採用を狙ったもので,将来的にEVやハイブリッド車がさらに増えれば,車内通信においてノイズに強いPOFでの光通信の需要が増えると読んでいる。またレーザーに対しても価格面でアドバンテージが大きく,コストにシビアな自動車業界に適しているのではないかとしている。
現在のところ,1Gb/sの通信を確認できた距離が1mと短く,自動車での採用には「せめて15mは欲しい」(担当者)としているほか,温度特性も120℃程度での動作が求められることから,この辺りを中心に改良を進めていくとしている。
試作品の主な特性は以下の通り。
発光波長:509nm,半値幅:40nm,駆動電流:20mA,駆動電圧:3.8V,全放射束:1.35mW,立ち上がり/立ち下がり時間:1.2nsec,遮断周波数:350MHz,通信速度:1Gb/s