東ソー,10倍の性能を持つガスバリア材料を開発

東ソーは,画面が屈曲できるディスプレイ(フレキシブルディスプレイ)の品質向上に不可欠な高性能ガスバリア材料(開発品名:「TG-4E」)を開発した(ニュースリリース)。

昨今,有機ELを用いたディスプレイをフレキシブル化するため,樹脂フィルム基板上に有機ELを保護するガスバリア膜を作製することが検討されている。

しかし,従来材を用いた膜はガスバリア性が低く,水や酸素の透過によって有機ELのドット抜けなどが発生してしまうため,フレキシブル ディスプレイに適用できない問題があった。

開発した「TG-4E」はこの問題を解決する材料。この材料を使用して製膜法の1つであるPECVD法(プラズマ励起化学気相成長法)によりガスバリア膜を作製すると,極めて高いガスバリア性を発揮することを確認した。

具体的には,高ガスバリア性従来材であるヘキサメチルジシロキサンに比べ,高いガスバリア性を有する膜を作製できる。同一膜厚条件で,従来材の10倍以上のガスバリア性を実現した。

また,従来材によるガスバリア膜のように淡黄色とならず,透明度が高い膜が作製でき,画質が向上するほか,伸縮性が高いため,耐クラック性・耐屈曲性に優れ,加温による樹脂フィルムの伸張にも対応するとしている。

同社では今後,この材料について,国内外のデバイスメーカーやフィルムメーカーでの性能評価を進めていく。