総研大,チョウの複眼の発生メカニズムを解明

総合研究大学院大学は,チョウで複眼のできるメカニズムを解明した(ニュースリリース)。

花を求めて飛ぶチョウ類は,昆虫の中でも特に優れた色覚をもっている。複眼の中にあって様々な色に感度をもった視細胞(光受容細胞)が,その色覚を支えている。

花に来ない昆虫の複眼に比べるとチョウ類の種類や配列は非常に複雑。今回,アゲハの複眼で視細胞の感度と配列がどう決まるかを,光受容物質(視物質)とその発現を調節する因子のはたらきを調べることで明らかにした。

その結果,視細胞の配列は基本的にはショウジョウバエと同じメカニズムで決まっているが,重要な遺伝的信号を作る細胞がアゲハでは一つ多く,これがより複雑な複眼を作り出す鍵である,ということが分かった。

昆虫全体で見ると8視細胞型個眼の種が多数派で,その中でバッタとヨコバイでは個眼のタイプが2であることがわかっている。9視細胞型の個眼をもつのは,チョウのほかやはり訪花性のハチ類。つまり,視細胞が8から9に増えたことは訪花性となんらかの関係があり,それが色覚の進化と密接に関係していると推測している。

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