キヤノン,FOWLP向けi線ステッパーを発売

キヤノンは,先端パッケージ市場において,高い解像力と重ね合わせ精度で定評のある半導体露光装置「FPA-5510iV」(2011年7月発売)の後継機種として,FOWLP向け機能の強化と生産性のさらなる向上を実現した半導体露光装置「FPA-5520iV」を7月5日より発売する(ニュースリリース)。

モバイル市場における小型化・省電力化の流れに伴い,半導体チップの高集積化・薄型化への要求が一段と高まっている。この要求を満たす次世代パッケージ技術として,FOWLP技術が注目されている。

この技術は,プロセッサーやメモリーなどさまざまな機能を持つ異種半導体チップを同一パッケージ内で接合したSystem in Package(SiP)を薄く製造できる技術で,半導体デバイスの高集積化・薄型化を低コストで実現する技術として期待を集めている。

この製品は,高い解像力(1µm:オプション適用時)と高い重ね合わせ精度(0.15µm)を継承したうえで,従来機種よりもFOWLPで課題となる再構成基板の反りやチップの配列ばらつきへの対応力強化と,生産性のさらなる向上を実現した。

FOWLP技術で使用される再構成基板は,大きく反った形状をしている。新製品では,搬送システムと基板ステージの吸着方式を全面的に見直すことで,基板の形状変化に柔軟に対応し,精度の高いパターニングを可能とした。薄い再構成基板から通常のシリコンウエハー,ガラスウエハーを貼り合わせた厚い基板まで,多様な基板に対応する。

後工程で使用される厚膜フォトレジストは,高い露光量を必要とする。新製品は従来機種に対して30%照度を向上させることにより,露光時間を短縮し,ウエハーの処理能力を20%高めた。

微細化による高集積化の進展が行き詰まっている半導体デバイス製造においては,微細化に代わる手段の1つとして,多様なパッケージ手法による高集積化が提案されている。このパッケージ市場はTSVやPillar Bumpなど技術進化と多様化の動きが加速している。

なかでも,FOWLPは最有力技術として注目を集めており,後工程メーカーでの量産化の動きが活発化している。この製品は後工程量産における市場ニーズに対応していくとしている。