NEC,新たなナノ炭素素材を発見

NECは,ナノ炭素材料の1つとして,カーボンナノホーンの繊維状集合体である「カーボンナノブラシ」を発見し,その作製に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

カーボンナノホーンは,直径2~5nm,長さ40~50nmの角の形をしたナノ炭素構造体で,これまで放射状に延びた球状の集合体として作製されてきた。

今回,新たに発見した「カーボンナノブラシ」は,カーボンナノホーンが丸棒ブラシのように,放射状かつ繊維状に細長く伸びて集合した,今までにない形状の材料。

「カーボンナノブラシ」は,従来の球状カーボンナノホーン集合体と同様に水や溶媒への分散性が高く,物質を包含する吸着性が高いという特性を有しながら,従来の10倍以上の高い導電性も有している。

これまで困難であった産業応用において重要な特性を兼ね備えた新しいナノ炭素材料だとしている。

これらの特性により,IoTデバイスとしてセンサやアクチュエータの応答速度向上,蓄電池やキャパシタの出力向上,ゴムやプラスチック複合材の導電性向上を始めとする,様々なデバイスの基本性能向上や,幅広い分野への適用が期待されるという。

同社では今後もこの新材料の生成過程および詳細な特性の解明と,この材料を用いた具体的な応用について研究を進めるとしている。

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