情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は5月25日,学術情報ネットワーク「SINET5」の開通式を執り行なった(ニュースリリース)。
NIIは研究と事業を両輪として活動に取り組んでおり,日本の学術情報ネットワーク(Science Information Network:SINET)の構築・運用を担っている。
今年4月から運用を始めたSINET5は,全都道府県を100Gb/sの超高速回線で結んで国際回線も増強し,信頼性や機能性を高めた,日本の学術コミュニティーの発展に不可欠なインフラストラクチャーとなるもの。
日本は平成19年に運用を始めたSINET3で世界に先駆けて通信速度を40Gb/sに引き上げたものの,100Gb/s化では欧米に先行されていた。今回,SINET5は米国とも100Gb/sでつないだほか,欧州との間にも初めて20Gb/sの回線を整備した。これまで欧州原子核研究機構(CERN)などの大型研究施設の多くが欧州に存在しながら,米国経由の通信だった。
巨大な実験装置が膨大なビッグデータを生み出し,これにより転送されるデータ量の増大が予想される。従来はネットワークの帯域を調達していたが,今回はダークファイバ―そのものを調達した。これにより,両端の伝送装置を変えることで機動的に能力を上げていける。
また,NIIでは,SINET5を模して構築したネットワークで370Gb/sでのデータ転送に成功しており,100Gb/sで欧米に追いついただけではなく,その一歩先を見据えて研究開発に取り組んでいくとしている。