阪大,外力で発光色が二段階変化する金化合物合成

大阪大学をはじめとする国際共同研究チームは,「加熱」と「すり潰し」により二段階の可逆な発光色変化を示す強発光性金錯体を合成し,その変換メカニズムを解明した(ニュースリリース)。

金(l)イオンは,イオン間で金-金相互作用と呼ばれる引力的な相互作用を示し,この相互作用に由来する発光特性を示す。また,このような発光性の金(l)錯体は,外部刺激によって,その発光色を変化させることら,外部環境に応答して発光色の変化を示すクロミック化合物として,化学/生物学センサーや有機EL材料への応用の可能性が期待されている。

金(l)イオンは直線2配位,平面3配位,四面体4配位の3種類の配位構造を柔軟に取り得るが,これまでに合成されている発光性クロミック金錯体は直線2配位型の金(l)イオンから構成される。これは,この配位構造が最も「柔らかく」,外的要因により金-金間相互作用が変化しやすいため。一方,3配位以上の配位数をもつ金(l)イオンは,構造的に「硬い」ため,相互作用の変化が乏しく,クロミック化合物には適さないと考えられてきた。

今回,研究チームは,「加熱」と「すり潰し」により二段階の可逆な発光色変化を示す強発光性金錯体を合成し,その変換メカニズムを解明した。この発光性材料の金(l)イオンは,一般的に用いられる「直線2配位」ではなく「平面3配位」の構造をもち,強発光性で,「熱」や「すり潰し」に応答するという特性がある。

この研究結果は,平面3配位構造の金錯体が強発光性に優れ,かつ,熱や機械刺激に応答するクロミック挙動を示し得ることを示すもの。今後,この研究成果に基づいて,直線2配位に限らず,平面3配位構造の金錯体を利用した新しいクロミック材料や発光センサーデバイスの開発が進展することが期待されるとしている。

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