阪大ら,レーザーで惑星深部を再現

大阪大学と熊本大学は,米ハーバード大学,米サンディア国立研究所,スウェーデン・ウプサラ大学らとの共同研究で,大阪大学レーザーエネルギー学研究センターのハイパワーレーザー激光XII号などを用いて,1千万気圧,1万度といった超高圧力・超高温度下で絶縁体化合物が瞬時に液体金属状態となることを明らかにした(ニュースリリース)。

地球の中心部には300万気圧・5,000度の液体の鉄合金が渦巻いていると考えられている。木星の深部は3,500万気圧・20,000度にも達し,水素の液体金属が存在する。

このような超高圧高温の物質は,物理学の世界ではWarm Dense Matterと呼ばれ,単純な固体や液体でもなく,また理想的なプラズマでもない複雑な状態であるため,その特徴や振る舞いの理解がまだ十分ではない。惑星内部構造の謎の解明のためだけでなく,これからの物質科学や材料工学の発展を目指して,世界中で研究が行なわれている。

今回研究グループは,レーザーショックという“光の集中性”を利用した方法によって,1千億分の1秒という極めて短い時間で化学結合を切断し,同時に原子間の距離が急激に縮むことで,超高圧超高温の原子スープとも呼べるような液体金属状態を生成した。

そして,圧力と温度の上昇に伴って,化合物の構成元素や化学結合の種類に起因するいわゆる“物質の個性”は徐々に失われていくこと,そして最終的に多くの液体金属の振る舞いが非常に単純な共通の方程式(状態方程式)に従うことを明らかにした。

これにより,これまで極めて複雑と思われてきた高エネルギー物質状態を,より単純に分類したり理解したりできることが証明された。これは,高出力レーザープロセスのさらにスマートな制御による加工の効率化や,太陽系外で次々に見つかる巨大惑星の内部構造や進化過程の解明,レーザー核融合発電実現に向けた高密度プラズマの振る舞いの予測などにも繋がる有用な知見であるとしている。

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