東洋炭素ら,低欠陥SiCウエハー製造法を開発

NEDOプロジェクトにおいて,東洋炭素と関西学院大学は,コア技術の「Si蒸気圧エッチング技術」を用いた「SiCウエハーの平坦表面処理技術」を完成,従来の処理法に比べて欠陥を1/20に低減した(ニュースリリース)。

さらに,この「Si蒸気圧エッチング技術」を応用することで,ウエハー薄板化加工も容易となり,高品質薄板化SiCエピウエハーの製造を可能とした。この技術を用いることでSiCデバイスの実用化が加速,自動車や機器の省エネ化を可能にするとしている。

半導体SiCによるパワーデバイスは,半導体Siに比べ優れた電気的特性を持ち電力変換に伴う損失の大幅な低減を可能とするため,自動車に搭載することで燃費を約10%改善することが期待されている。

しかしながら,SiCは研磨が非常に難しく,平坦な表面を機械研磨により形成しても表面加工歪層が導入されてしまい,結晶のエピタキシャル成長時に新たな結晶欠陥を導入することがある点が高品質ウエハーを安定供給する上での課題だった。

NEDOのプロジェクトにおいて,東洋炭素と関西学院大学は,「Si蒸気圧エッチング法」をコア技術とした独自のSiCウエハーの平坦表面処理技術を開発,この技術を用いることで,従来のCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理SiCエピウエハーに内在している加工歪/潜傷の除去を可能とした。

その結果,この技術で処理を行ったSiCエピウエハーは,従来法に比べてエピ欠陥が1/20に低減されることが確認され,高品質SiCエピウエハーの製作が可能となった。

さらに,この処理技術は熱化学エッチングであり,機械研磨により発生する加工歪/潜傷が原因で割れることもないため,ウエハー薄板化加工も容易となり,高品質薄板化SiCエピウエハーの製造も可能となったとしている。

東洋炭素は,これらの開発技術を統合して,量産製造装置の導入,製品化し,特定顧客へ「高品質薄板化SiCエピウエハー」のサンプル供給を開始している。

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