DNP,手動調光ガラスを開発

大日本印刷(DNP)は,2枚のガラスをスライドさせることで,透明から遮蔽に切り替えが可能な「DNP調光ブラインド スマートシェード」を開発した(ニュースリリース)。2016年4月に販売を開始する。

オフィスや公共施設などで,プライベートな空間を確保するため,電気によって透明なガラスを擦りガラス調に切り替えて遮蔽する製品が使われるケースがある。この製品は,常に電力が消費されるほか,電気配線が必要で施工に時間がかかるなどの課題があった。

これらの課題に対してDNPは,ディスプレー向け光学フィルムなどで培った光学設計や液晶パターニング技術を活用し,偏光板と位相差フィルムを貼り合わせた2枚のガラスを手動でスライドさせることで,透明と遮蔽の切り替えが可能なこの製品を開発した。

偏光板に使われる光学フィルムの技術を利用し,光の通過や遮断をコントロールすることができるため,手動で簡単に「透明」「遮蔽」を切り替えることができる。電気で「透明」「遮蔽」を切り替える従来の製品と異なり,電力が不要なため省エネに寄与する。また複雑な配線が必要ないため,施工時間も短くなる。

通常のガラス清掃のように表面の汚れを拭き取ることができる。ブラインドのように,溜まった汚れを時間をかけて清掃する必要がない。また,既存のブラインド内蔵ガラスのように,上下の視界が制限されたり,ガラス内のブラインド紐が絡まって壊れるといったこともない。

外形の厚みは約24mm。ガラスにフィルムを貼った構造のため,窓ガラスが割れた際に,ガラスの飛散を抑制する。ガラスのほか,ポリカーボネートなどの軽量な樹脂ガラスを使用することも可能。黒,青,紫,黄色など,製品のカラーバリエーションをラインアップ。清潔な環境が求められる病院の手術室などにおいて,菌が付着しやすい布製のカーテンの代替品としても使用可能。

この製品は,発売に先行して,JR桶川駅西口の商業施設「桶川マイン」に新設された「桶川市駅西口図書館」に導入された。同社ではこの製品を住宅やオフィスビル,文教施設,商業施設,医療施設などに提供し,2020年に年間30億円の売上を目指す。