2020年LEDパッケージ市場,4,436億個/1兆8,097億円

富士キメラ総研は,バックライトや照明に代わる新たな用途に注目が集まっているLED(発光ダイオード)と,その関連の世界市場を調査し,その結果を報告書「2016 LED関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。

この報告書ではLEDパッケージ・関連部材26品目,アプリケーション19品目の市場を調査・分析した。また,LED関連の有力企業の動向,さらにLED照明競合製品(半導体レーザー,有機EL照明)2品目についても取り上げた。

LEDパッケージ市場はアプリケーション自体の市場成長著しいLED照明向けで白色LEDパッケージが伸びていることから,数量ベースでは好調。一方,LED照明向けに特に出荷数量を急増させている中国メーカーが,非常に安価な製品で攻勢を強めていることから単価の大幅な下落を招いており,金額ベースではほぼ横ばいにとどまるとみる。

国内では,LED照明向けは高品質な白色LEDパッケージが求められることから,当面中国メーカーの安価な製品が市場に与える影響は少ないとする。

今後拡大が期待される製品は,現在は市場規模が小さいが紫外光LEDパッケージ。また,バックライトや照明に代わる有望な用途として,自動車向けに注目が集まっているとしている。

■白色LEDパッケージ
2014年にLED照明向けが液晶のバックライト向けを数量ベースで上回ったが,2015年はその差がさらに広がっている。バックライト向けはTVなどの大型アプリケーションの市場が不調であり,またスマートフォンやタブレットなどの中小型アプリケーションも市場成長が少しずつ鈍化している。

搭載個数の減少もあり,バックライト向けの市場におけるウェイトは今後も縮小するとみる。ただし,2017年以降,4K-TV市場の拡大により,同用途向けは堅調な推移を予想する。

照明向けは中国メーカーが大規模な増産で,安価な製品を市場に投入し続けており,一部製品では1年間で最大40%下落するなど,価格競争が激化している。

■紫外光LEDパッケージ
紫外光においてLEDの実用化が進められているのは380~200nm帯の近紫外領域。近紫外領域はさらにUV-A(380~310nm近傍),UV-B(310~280nm近傍),UV-C(280~200nm近傍)に分類される。

市場は樹脂硬化,紙幣識別向けのUV-Aを中心に拡大してきた。2015年はほぼ全量がUV-Aであった。樹脂硬化は産業用硬化装置におけるカメラモジュール,スマートフォンなどのタッチパネルの貼り付け用途で需要が増加した。

特にマルチチップ(1パッケージに複数のチップ)パッケージを用いた1Wを超す大出力タイプの製品が市場を押し上げた。マルチチップパッケージでは5Wクラスのものも登場した。しかし,それでもまだ出力が弱く,他の光源との置き換えも進まず,市場規模は小さい。

その他のLEDパッケージでは,有色LEDパッケージは装飾やイルミネーション,LEDディスプレイ,表示器などに使用されている。また,赤外光LEDパッケージは主にフォトインタラプタやIrDA・リモコン向けのウェイトが高く,市場はOA機器や産業機器といった最終製品の動向に左右される。一方,昨今は中国における水道や電力量の各種メーター向けや,監視カメラ向けで需要が増加しているという。