住友電工,低損失・低分散 結合型MCFを開発

住友電気工業は,長距離大容量伝送用途に適した新型の結合型マルチコア光ファイバーを開発し,空間分割多重用光ファイバーにおける伝送損失と空間モード分散の世界記録を更新した(ニュースリリース)。

スマートフォンなどの急速な普及やデータセンターの発達によって,長距離伝送系の通信トラフィックは増大し続けており,伝送損失の低いシングルモードファイバー(SMF)を用いた伝送容量の拡大が図られている。

一方で,さらに大幅な容量の拡大を実現するために,1本の光ファイバーの中に複数のコアを内蔵するマルチコアファイバー(MCF)などを用いて信号を伝送する空間分割多重(SDM)と言われる技術の研究が盛んに行なわれており,大容量伝送システムを実現する次世代光ファイバーとして期待されている。

今回,純石英コアを4つ内蔵する結合型MCFを開発し,SDM用光ファイバーにおける世界記録を更新する伝送損失 0.158dB/km(波長1550nm)及び空間モード分散 6.1 ps/√km(波長1550nm付近)を実現いした。

伝送損失が実用化されている極低損失な光ファイバーと同程度に低いことと,空間モード分散を従来のSDM用光ファイバーの5分の1程度まで低減したことで,伝送容量を従来ファイバーの4倍程度まで増大させることが期待されるという。

さらに,今回開発した光ファイバーは,現在標準的に広く用いられている125µmのクラッド径を有することから,既存設計の光ファイバーケーブルに適用することができ,また,汎用光ファイバー同等の高い信頼性が期待されるとしている。

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