水ing,大容量紫外線LED消毒装置を東大と共同で開発

UV-LED実証試験機(イメージ図)

総合水事業会社の水ingは東京大学 先端科学技術研究センター・准教授の小熊久美子氏との共同で,水道,産業向けの大容量紫外線LED消毒装置を開発したと発表した(ニュースリリース)。

水ingでは,30年以上前から水銀ランプを使用した紫外線消毒装置を水道水クリプトスポリジウム等病原性生物対策や産業用水殺菌・滅菌用途向けに数多く納入実績を持つが,将来的に消費電力が少なく寿命が長い紫外線LEDの普及が進むと考え,2年前から小熊氏と共同研究を行なってきた。

紫外線LEDは,水銀ランプに比べて動作電圧が低い,出力コントロール性が良い,ウオーミングアップ時間が不要で立ち上がりが早い,光源が小型のため交換も容易でメンテナンス性が高いなどの特長を持ち,水道,産業,医療など幅広い分野への適用が可能。

今回開発した紫外線LED消毒装置は,これまで家庭用浄水器などの分野では開発が行なわれているが,消毒に必要な照射強度が低いため,水道用や産業向けなど,大容量への実用化が難しいと考えられてきた。しかし,紫外線LED素子の性能が急速に進歩していることに加え,同社が持つノウハウにより装置本体の構造を一から見直し,紫外線LEDに最も適合した装置の開発に成功した。

今後,東京大学と共同で性能検証を行ない,日量500トンの水処理装置を市場投入し,その後,適応水量や照射面の洗浄機構付装置など順次ラインナップを拡充する予定という。

紫外線LED消毒装置は産業用水や製品殺菌用のほか,水道水向けにはクリプトスポリジウム対策用として大きな市場があり,全国に1,700箇所以上あるクリプトスポリジウム対策を必要とする浄水場や,今後需要が増加する産業用水用水銀ランプ装置の更新ニーズに向けて販売する計画だとしている。

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