パナソニック,指紋認証に適した高誘電率封止材を製品化

パナソニックは,モバイル端末などに搭載される指紋認証センサー用パッケージなどに適した高誘電率を実現した封止材を製品化,2016年4月から本格量産を開始する(ニュースリリース)。

スマートフォンなどのモバイル端末に搭載される,現行の静電容量方式の指紋認証センサーパッケージの指紋接触部には高誘電率のサファイアガラスが採用されているが,センサパッケージの小型薄型化が難しく,製造プロセスが複雑などの課題があった。。一方,構成部品を単純化でき,小型薄型化が可能な封止材では感度の均一性の面で課題があった。

今回,同社では,サファイアガラスからの代替可能な高誘電率封止材を製品化した。新規フィラー高充填技術の開発により均一な高誘電率特性の実現および樹脂封止による薄型化で,サファイアガラスに匹敵する高感度化を実現した。

センサーパッケージを一括封止することができ,サファイアガラスに比べ同等から2倍の高感度化を実現,センサパッケージの小型薄型化と低コスト化が図れ,モバイル端末以外の用途拡大が見込まれるとしている。

センサーパッケージに使用する封止材には,二次実装信頼性,および封止プロセス内での作業性確保のための低反り性と,小さく薄いセンサーパッケージ内部,特にICチップ上の狭い部分を確実に封止できる充填性が要求される。

新材料は,フィラー高充填技術および樹脂設計技術の開発により,高い充填性と優れた低反り性を実現,センサーパッケージに適した封止材を製品化した。センサーパッケージの一括封止を容易に行なえ,構成部品もシンプルで搭載機器のデザイン性向上に貢献するという。

また,サファイアガラスを使用する場合,薄型化を進めると耐衝撃強度が低下し欠けやすいという取扱い面や製造プロセス,およびコストにおいて課題がある。また,さらなる高誘電率化のため樹脂化への要望がある。

この材料は,指紋認証センサーの高感度化,小型薄型化を達成するために要求される高い比誘電率と高い充填性,優れた低反り性を満足させることで,封止材でありながらサファイアガラスからの代替を可能にし,製造プロセスの簡素化に貢献するとしている。