光産業全出荷額,2015年度見込みは17兆4,377億円

光産業技術振興協会は,2015年度光産業全出荷額と国内生産額の調査結果を発表した。

それによると,2014年度実績で,全出荷額は成長率4.0%増の18兆1,192億円,国内生産額は成長率3.9%増の8兆7,425億円となった。2015年度見込みでは,全出荷額が成長率マイナス3.8%の17兆4,377億円,国内生産額が成長率マイナス3.7%の8兆4,177億円になるとしている。2016年度予測は定性的調査の結果だが,全出荷額,国内生産額ともに横ばいとしている。

 

2007年度をピークに低迷を余儀なくされてきた光産業分野だが,以来回復の原動力となっていた太陽光発電,太陽電池セル・モジュール市場が急速な落ち込みを見せ,2015年度の全出荷額見込みでは大幅な減少となる。また,一眼レフやコンパクトタイプのデジタルカメラ市場の不振や光ディスクなど情報記録分野の低迷も,光産業の成長を鈍化させている原因ともなっている。

一方で,明るい材料もある。レーザー・光加工分野の好調だ。2015年度見込みでは全出荷額,国内生産額ともに上昇し,情報通信分野を超えるまで成長する。また,ディスプレー・固体照明分野も堅調な伸びを示している。その牽引役はディスプレーパネル,LED照明器具となっている。

レーザー・光加工分野とディスプレー・固体照明分野の国内生産額は1991年以降,金額の差はあるものの,比例した推移を辿っている。これはディスプレー製造におけるレーザーの応用にも関係するものと考えられるが,近年ではスマートフォン用パネル製造向けレーザー装置需要が増加している。レーザー・光加工分野では加えて,ファイバーレーザーが自動車分野を中心に伸び,レーザーを用いた3Dプリンターの需要も堅調に推移している。

情報通信分野では海底ケーブル敷設プロジェクトが一段落したことで関連部品,機器・装置の需要は減少に転じるものの,データセンターにおける100Gb/s導入の動きが活発化しており,2016年度にかけて伝送用部品関連は増加が期待されている。

総じて光産業分野の成長鈍化が調査結果によって明らかになっているが,大きく落ち込んでいる太陽電池分野に関して言えば,次世代を担う高効率太陽電池の研究・開発が進んでおり,その実用化によって再び市場の活性化につながるものと考えられる。また,革新的な光製品の創出も重要で,その開発のための支援策にも期待したい。