日本レーザー輸入振興協会(Japan Importers Association of Laser&ElectroOptics:JIAL)は2月26日,東京市ヶ谷の私学会館で第26回となる定期総会を行なった。
JIALは1991年1月28日に発足。今年で設立25周年を迎えた。JIALは,海外のレーザー・オプティクス関連機器・装置を取り扱う企業が結束して設立。これまで国内における産業界や学界への輸入製品の普及促進につとめてきた。また,展示会やセミナーを通じ,海外の先端技術や製品を紹介するなどの活動を行なってきている。
今回の総会には,会員企業29社のうち26社(委任状を含む)が参加。2015年度の活動報告,収支報告および2016年度の活動予定,予算案などについて協議が行なわれ,すべての議題は異議無く了承された。
総会後は懇親会が開かれ,壇上に立ったJIAL会長の近藤宣之氏(株式会社日本レーザー代表取締役)は,日本国内で研究開発に使えるレーザーの製造が行なわれていない現状や,自動車をはじめとする産業界での需要を例に挙げ,改めて輸入商社が果たすべき役割について語った。
また世界的な経済状況にも触れ,「世界や日本の経済はグルーミー(停滞気味)だが,海外のセミナーを聴くと光産業は成長傾向にあるとされている。ここ3年は為替レートが厳しい中,我々はなんとかやってきた。まだ厳しい時期が続くと思うが,JIALの設立25周年を期にこれからもこの業界を盛り上げていこう」と,会員に檄を飛ばした。
近藤氏は急激な円高傾向について,今後さらに進むだろうと予測。「円高が進むと我々の粗利は改善するが,一方で大手メーカーは想定レートである1ドル=115円を割ると研究開発費の引き締めを始める。こうなると結局我々の受注が落ち込むことになる。公的な研究費がシュリンクする中で民間の需要が支えとなってきたが,これも減るとなると先行きの見通しは厳しいと言わざるを得ない」と現状の認識を示した。
一方で「需要減とアベノミクスが思惑通りにいかない中,我々は何とか赤字を出さないよう,守りに徹してきた。しかし今後は守っているだけではじり貧になる。世界的に見ればマーケットはある。少なくとも我が社は世界に打って出るつもりだ」と,新たな戦略を進めていく用意があることを示唆した。
具体的な内容について,同社ナノマイクロビジネスグループの鶴田逸人氏は「国内の中小企業の製品を中国や台湾に輸出する。彼らは国内企業の動きが鈍いことにしびれを切らしている。中台の企業はビジネスのスピード感が違うし力もある。かつて頭痛の種だったビジネス常識も洗練されてきた。これまで欧米のメーカーと国内ユーザーを仲介してきたように,我々は現地のユーザーのみならず商社ともコネクションを作って対応していきたい」としている。
JIALは非常に一体感の強い業界団体だが,25周年という節目を迎え,各社がそれぞれの戦略を持って時代と向き合うことが求められている。専門商社もかつての枠にとらわれることなく,時代の変化に沿った柔軟な経営姿勢が今後を左右しそうだ。