リコー,直接変調方式50ピコ秒ファイバーレーザーを発売

リコーインダストリアルソリューションズは,情報家電・IT分野のデバイスや光学部品製造など精密加工の需要拡大が見込めるとして,産業用レーザー市場に参入することを決定。第一弾製品として,超短ファイバーレーザー「RICOH SU-1020」を2月29日から発売する。(ニュースリリース)オープン価格。

この製品は,平均出力に加え,10W以上のファイバーレーザーでは業界初となる直接変調方式のシード光源を採用したことで,レーザー加工において重要なパラメータとなるパルス幅と繰返し周波数を任意に設定することができ,「熱加工」と「非熱加工」の各々の特徴を活かした複合的な加工が可能。これにより,薄膜太陽電池セルなどの「パターンニング加工」,フラットパネルディスプレイガラスなどの「切断加工」,微細光学素子の金型などの「微細加工」など幅広い加工アプリケーションに対応することができる。

また,パルスエネルギーを調節することで,光熱作用により加工対象物を急激に熱して気化させる「熱溶融加工」と,瞬間時に高いピークパワーのビームを照射することで原子間の結合を破壊する「アブレーション加工」を組み合わせることができ,最適な加工条件を設定することができる。

最短パルス幅が50ピコ秒という超短パルスレーザーにより,熱が拡散する時間よりもパルス幅が短いため熱影響が広がらず,加工部周囲への熱損傷を最小限に抑えた加工を実現。また,主発振器で発生したパルス列を間欠駆動するバーストゲート発振モードを設定することで,空間的なパルスの重なりによる熱蓄積を低減し,非熱加工性能を最大限に発揮する。

光ファイバー増幅器をベースとし,独自のハイブリッドレーザー技術によって,ビームを細く絞りやすくすることができ,数μmレベルで繰り返し再現性の高い微細加工をすることができるとしている。

光学ヘッド部をパルスエンジン部から分離した構成とすることで,可動ステージやロボットアームへの装着が容易。フレキシブルで局所選択的な加工に対応する。場所に制限され
ず,多くの現場で利用できる。主な仕様は以下の通り。

レーザー波長:1064±3nm
平均出力:最大16W
出力安定性:±3%
ピークパワー:最大41kW
パルスエネルギー:4μJ/100ps,2MHz(8W)
40μJ/1ns,200kHz(8W)
パルス幅:50ps~9nsにて任意設定可
繰返し周波数:200kHz~4MHzにて任意設定可(250MHz までカスタム対応可)
ビーム品質:TEM00 M~2<1.3,ランダム偏光
出力ビーム径:φ1mm
トリガモード:連続パルス/バーストゲートパルス
バーストゲート周期:100μs~1msにて任意設定可
冷却方式:水冷,20~25℃
寸法(W×D×H):パルスエンジン部 480×504×199mm
光学ヘッド部:38×45×250mm(デリバリファイバー長 2.5m)

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