広島大ら,100Gb/s超のTHz CMOS回路を開発

広島大学,情報通信研究機構,パナソニックは共同で,シリコンCMOS集積回路により最大毎秒100ギガビットを超える伝送速度でデジタル情報の無線伝送を可能とする,テラヘルツ波(300GHz帯)を用いた無線送信技術を世界で初めて開発した(ニュースリリース)。

従来,テラヘルツ帯信号を用いた無線通信実験は,高周波動作に有利な化合物半導体を用い,出力をオン・オフし通信を行なうような単純な回路方式による検討が主だった。

一方,テラヘルツ帯を用いた無線通信技術が広く普及するためには,デジタル信号処理回路との組み合わせや高速化に必須となる多値変調回路との集積化が容易なシリコンCMOS集積回路によりテラヘルツ帯信号の無線伝送を可能とする技術が望まれていた。

開発した無線技術は,シリコンCMOS集積回路により実用的なテラヘルツ帯の信号生成を実現したものであり,以下の技術を用いている。
1. 局部発振信号と中間周波数帯の変調信号を同時に3次非線形回路に入力することで,中間周波数帯から300GHz帯へと変調信号を歪ませることなく周波数変換する独自の周波数変換技術
2. 周波数変換後の信号を32個並列に接続し,300GHz帯の出力信号を大きくするための電力結合技術
3. 無線送信回路に必要となる差動信号を,入力信号を増幅しつつ電力分配することで効率よく発生する増幅回路技術

今回は無線通信システムのうち,300GHz帯の送信回路を実現したもの。テラヘルツ帯無線通信システムの実用化にはこの他に300GHz帯受信回路,高速通信に対応したデジタル信号処理による変復調回路が必要となる。

今後これら無線通信システムに必要な回路の基盤技術を開発し,シリコンCMOS集積回路による無線通信システムの実用化を目指すとしている。

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