島津製作所は,同社として初めて傾斜透視撮影とCT撮影をワンパッケージ化し,傾斜透視観察から即座に断面画像の取得が可能な非破壊検査用のマイクロフォーカスX線検査装置「Xslicer(エックススライサー) SMX-6000」を1月7日に発売した(ニュースリリース)。価格は4,650万円(ソフトウェア込み,税別)。
この製品は,発生点を非常に小さく絞ったX線をワーク(サンプル)に透過させて透視画像を表示するマイクロフォーカスX線検査装置の新製品で,別置きユニットや複雑な手順を必要とせずにワークの断面画像を得られるCT撮影を標準で行なうことができる。
高速な演算処理を行なえる独自のアルゴリズムを採用したことで,CT撮影開始から最短3分で断面画像の表示が可能であり,傾斜透視撮影からスムーズに切り替えを行なうことができる。また,校正不要で容易な撮影や優れた操作性など,これまで好評だった特長も引き継いでおり,効率的な非破壊検査をサポートする。
マイクロフォーカスX線検査装置は,非破壊検査で使用される代表的な装置。リチウムイオン電池の内部観察やエンジンコントロールユニット(ECU)に代表される自動車部品の検査,電気・電子部品の出荷前検査などに用いられており,不良品の故障解析にも使用される。
この装置による検査のニーズは,スマートデバイスの普及や自動車・エレクトロニクス産業の急速な発展にともなって2次元から3次元での観察に移行しつつある。そのため,CT撮影が可能なマイクロフォーカスX線検査装置の市場は拡大傾向にあり,国内においてはここ4年間で市場が2倍近くまで拡大しているという。
新製品は,プリント配線板に実装する電子部品やパワー半導体の微細なはんだ接合面などの撮影に適するCT撮影の特長を生かして,国内およびアジアのエレクトロニクス業界を中心に拡販・浸透を図る。