東芝,プロジェクション技術でMRIの閉塞感を軽減

東芝と東芝メディカルシステムズは,MRI検査装置の検査空間であるボア内に設置したドーム型スクリーンにプロジェクターから映像を投影することで,検査空間を感じさせない広視野・高臨場感映像を表示できる技術を開発した(ニュースリリース)。

両社はこれまで,MRI検査を受ける患者の狭い空間や騒音による不安を軽減するため,直径71cmの大口径オープンボアや,検査時の騒音を低減するPianissimo™機構を開発し,製品化してきた。今回開発した技術により,さらに快適性を向上させ,検査空間を感じさせないMRI環境を提供するとしている。

この技術は,寝台の位置に応じて動く半透過ドーム型スクリーンをボア内に設置し,磁界の影響が及ばないMRI検査装置の後方に設置したプロジェクターから,スクリーンとボア内カバーに映像を投影し,寝台に設置されたミラーに反射された映像を患者が見ることにより,検査空間を感じさせない映像空間を実現するもの。

ボア内に設置されたドーム型スクリーンは,同社が研究開発してきた車載用ヘッドアップディスプレイや超高臨場感用頭部搭載型ディスプレイの基盤技術が活かされている。物体の色や形状を処理する中心視野に加えて,空間の奥行や広がり,動きを処理する周辺視野に映像刺激を与えることで,視野角60度以上の広視野・高臨場感映像を実現する。

患者はミラーに反射されたその映像を見ると,実際のボア内カバーより遠くに映し出されているように感じられ,広々としたバーチャル空間を得られる。さらに検査前には,ドーム型スクリーンはボア入口に位置して映像を表示しており,トンネル構造が見えないため検査への不安を軽減する。

また,検査開始時には,ドーム型スクリーンが寝台と連動してボア内に移動することで,患者は常に一定の映像を見続けることができ,閉所であるボア内へ入り込む感覚を低減する。更に,検査中はミラーに反射された映像とボア内カバーに投影された高臨場感映像が患者の視野内に入るため,広々とした明るい空間を実現している。

両社では今後,患者がボア内で検査していることを忘れてしまうようなリラックスできる空間を提供するため,騒音低減技術を融合させ,早期の実用化を目指すとしている。

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