ディスプレイ市場,今後は非民生機器がけん引

富士キメラ総研は,「高解像度化」「薄型化」「広色域」などをキーワードとした開発が加速しているディスプレイとその関連市場を調査し,その結果を報告書「2015 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(上下巻)」にまとめた(ニュースリリース)

このうち上巻ではディスプレイとそのアプリケーション,部材市場を,下巻ではタッチパネルとそのアプリケーション市場,タッチパネルメーカーの事業戦略を分析している。

報告書によると,ディスプレイ世界市場は2013年までスマートフォン,タブレット端末向け出荷数量の好調が続いた。しかし,タブレット端末向けは2014年以降伸びが鈍化し,2015年も苦戦している。今後はLCD(特にLTPS TFT)とAMOLEDがハイエンドのスマートフォンを中心とした需要を獲得し伸び,市場の僅かな拡大をけん引すると予想する。

■タイプ別
2015年のLCD市場は11兆3,494億円を見込む。大型TFT(TV,PC,タブレット端末,パブリック/サイネージ向け)は,TV向け出荷数量は微増となるが,タブレット端末向けが減少し,市場の伸びは鈍化するとみる。今後はTV,パブリック向け出荷数量は微増となるが,PC,タブレット端末向けの減少が続き,市場は微減が予想されるという。

中小型TFT(TV,PC,タブレット端末,パブリック/サイネージ向け以外)はスマートフォン向けの伸びが落ち着き,単価が下落したことで市場の伸びは鈍化するとみる。今後は微増を予想する。

2015年のOLEDディスプレイ市場は9,995億円を見込む。大型AMOLEDはハイエンドタブレット端末への採用が増えたことで出荷数量,金額ともに伸びているという。中小型AMOLEDは中国スマートフォンを中心に採用が増加しており,出荷数量,金額とも前年比プラスが見込む。今後はTFTとの差別化から,フレキシブル製品を軸とした展開が進むとみる。

■用途別
スマートフォン向けは出荷数量の増加が続いているものの,その増加をけん引している中国スマートフォン市場は飽和に向かいつつあるとする。加えて,中国スマートフォンは低価格化が進行しており,単価が大幅に下落していることから,2015年は金額ベースで前年比マイナスを見込む。

TV向けはPDPやCRTからLCDへの需要シフトがほぼ終了している。TV向けは成熟しており,2015年はPDPの生産が終了したことで微減を見込む。

車載向けはTFTの採用拡大により安定した成長が続いているとする。また,スマートウォッチは各種ディスプレイを採用したモデルが活発に製品化されており,2015年のスマートウォッチ向けは特にAMOLEDの採用が伸びているという。

今後市場拡大をけん引するのはスマートフォン向け,スマートウォッチ向け,車載向け,パブリック/サイネージ向け,医療関連機器向けと予想する。これまでディスプレイ市場を支えてきたのは民生機器が中心であったが,今後は非民生機器の需要も市場拡大を支えていくとみている。